Wonderful DaysⅠ
その後、暫くはスクールには通わず家庭教師をつけていた。
精神的に少しずつ落ち着いてきた頃、兄が継いだ会社のパーティーがあって。
そこでマリアが見せた久しぶりの笑顔に涙が出るほど嬉しかったのを今でも覚えている。
マリアが笑顔を向けていた相手は─────
「それにしても、今回の来日も急だったね?」
掛けられた声に意識を戻せば、穏やかな笑顔を浮かべている修。
年は離れていたけど桜さんの持つ空気とよく似ていて何だかホッとする。
「・・・当主の命でね」
離陸前の空港での遣り取りを思い出す───
イギリス名門貴族ウィンザー家の現当主である兄から、それはそれは凄い形相で脅さ・・・命令されてプライベートジェットに乗り込んだ。
「マークは何をしようとしているんだい?」
興味深げに聞いてくる修は、色素の薄いブラウンの目を細めるとティーカップにコポコポとダージリンを注ぐ。