Wonderful DaysⅠ





────ジリリリリリリリ────ッ・・・


「ん─────っ!!」


けたたましい音にベッドに潜っていた手を伸ばすと、思いっ切り叩いて目覚ましを止める。

バキッて音が聞こえたけど、気にしない。


ぬくぬくする温もりに、再び夢の世界へ吸い込まれそうになった時だった。


「マリアちゃ~ん!相変わらず朝弱いねぇ・・・あらら。目覚まし壊れてる」


───マリアちゃ~ん?


おかしい・・・。

私の記憶にある限り、こんな間延びした呼び方をするのは一人しか思い当たらない。

でも、此処は日本で・・・その呼び方をする人はイギリスに居る筈。


「・・・・・」


「お~い、マリア~?」


───ガバッ!!!


「えっ?アル兄さんっ!?どっ、どうしてっ?」


掛け布団を捲れば、そこには見目麗しい私の兄がベッドに頬杖を付いてこっちを見ていた。

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