Wonderful DaysⅠ


「マリア?」


もう一度、声を掛けてきたアル兄さんに視線を向けた。


「昨日は学校の帰り道に、よそ見して歩いてたら不良っぽい男にぶつかったの。それで絡まれて走って逃げたら、海まで行ってしまって帰り道がわからなかったの・・・」


昨日の事実だけを述べれば、真偽を確かめるように目線を合わせる兄さん。

暫く、そのままでいれば


「本当だね?」


最後の確認をする兄さんに


「本当だよ」


こくりと頷くと「ふぅ・・・」と溜め息を零した。


「わかった」


短く返事をしたアル兄さんはベッドの端に腰を掛けると私の体に腕を回した。


「アル兄さん?」


声を掛ければ腕の力が強くなる。


「俺もマーク兄さんもマリアが心配なんだよ。疑ってごめん」


私の事を心底、大切にしてくれている兄さん達の想いを嫌だと思う事は無くて。


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