誘惑HONEY
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「……ただいま。」
深夜1時を回った頃。
俺はようやく、我が家へと帰ることができた。
もちろん、木下のことはタクシーの運転手に“丁重に”お願いした。
説得するのにだいぶ時間かかったけど…
いくら飲んでるとはいえ、アイツとどうこうなるなんて考えられないから!
……とは言え。
ヤバイなぁ。
ナオのやつ。
まさか、こんなに遅くなるとは思ってなかっただろうし…
もしかしたら、こっちを説得するほうが難しいかもしれない。
「……ナオ?」
なるべく音を立てないように。
そっと寝室のドアを開けてみると…
灯りが消えた部屋の中。
ベットの片側の膨らみが見えた。
耳をすましてみれば、微かに寝息も聞こえる。
……そりゃ、寝てるよな。
ほっと胸を撫で下ろしながらも、どこか物足りなさを感じてしまう。
いつもの「おかえり」の笑顔が見られないのは、やっぱり寂しいものがある。
「……俺も寝るかな。」
今日はものすごく疲れた。
今からシャワーを浴びる気力もないし…朝でいいや。
服だけ着替えて、俺はベットにもぐりこんだ。