誘惑HONEY
「マミねぇ、ちょっと困ったクセがあってぇ…。酔うと“キス魔”になっちゃうみたいなんだよねぇ」
木下が指差したのは俺の首筋で。
「……!?」
ワイシャツの襟元から覗いているのは、間違いなく…
「ほっぺとか唇とかならまだしも、ぶちゅーってやっちゃうことがあってぇ、」
言いながら、さりげなく近づいてくると、
「こういうこと、しちゃうんだよねぇ」
ツン、と。色づいた紅いところをつついてきた。
「ち…違うって!これはお前じゃなくて…」
木下のはずないじゃん。
…って言うか、いつの間にこんなもん付けたんだ?
ナオのやつ!
「えー?違うの?じゃあ、誰の?昨日、居酒屋にいるときはなかったよねぇ?」
「はぁっ?なんでわかるんだよ」
「マミ、男の人の首元見ちゃう人なんだよね。喉仏とか、よくない?…あ。別にフェチじゃないよ?」
お前の趣味はどうでもいい。
どうでもいいから…
「もしかして…
マミを追い払った後、“彼女”に会いに行った…とか?」