誘惑HONEY
「はぁっ?」
「おかしいなぁ…沢木くん、“今は彼女はいらない”って言ってなかったっけ?」
「言ったけど、それは…」
そりゃ、もう“彼女”は必要ないさ。
だって、俺には“嫁”がいるんだから。
……って、それよりも、
「…離れてくんない?」
この密着具合はなに?
俺の首筋に触れたまま、なぜかぐんぐん近づいてきて…
木下が、超至近距離で俺の顔を覗き込んでいる。
「えーっ?」
「だから、離れろってば!」
ぐいっと。若干乱暴に押し返せば、
「あー、ごめーん。マミ、今日コンタクト忘れちゃってぇ」
悪びれもせず、てへって感じに舌を出す木下。
なんなわけ?
「やぁ、でも、沢木くんってホント、カッコイイよね。」
「はっ?」
「見た目もストライクだったけど…昨日のことで、ますます好きになっちゃった。」
……何言ってるんだ?コイツ。
「どう?マミとつき合ってみない?」
「はぁっ?」
「大丈夫。そのキスマークの“彼女”のことは気にしないから。」