誘惑HONEY



「今度、木下先生と“2人で”いるとこ見つけたら、許さないから」

「はぁっ?」

「お仕事の話以外、しちゃダメ。2人きりで会うのも、一緒に廊下を歩くのも禁止!」


なんて無茶苦茶な…


「もし、それを破ったら…即離婚だからねっ。」


思いっきり叫ぶと、

バタンッ。思いっきり音を立ててドアを開閉して…

ナオは資料室から出て行った。


「おい、ナオ…」


あの状態で野放しにするのは危ない。

追い掛ける…つもりが、

廊下には既に、騒ぎを聞きつけた先生たちが「何事だ?」と言わんばかりに集まり始めていて…


俺は、しばらく資料室から出られなくなってしまった。


……ナオのやつ。

勘違いも甚だしい。

そりゃ、誤解を招くような行動を取ったのは事実だけど…

もう少し、俺のことを信じてくれてもよくないか?



……なんて、あの暴走娘にそれを期待しちゃいけないよな。

黙っていてもわかってくれる…なんて、思い上がりだ。


ナオの誤解を解いて、安心させるためにも、

これからは木下にはあまり近づかないようにしよう。

うん。



そう決めたのに…







「沢木くぅん!」


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