誘惑HONEY
「龍ちゃんは、私のこと愛してないの?実習のほうが大事なの?」
典型的な“面倒くさい”質問をぶつけてくる彼女。
子供っぽくてワガママなのも、年齢を考えれば仕方ない。
甘ったれた姿は可愛くもある。
でも…
「学校では“先生”」
ちゃんと徹底しないと。
「今はいいでしょ?みんなの前ではちゃんと“先生”って呼んでるし」
……どうだか。
さっきも教室で“りゅ”って出かけたくせに。
こっちは毎回ヒヤヒヤもんだよ。
「それより、ちゃんと答えて?私と実習…」
「どっちも大事。」
「えーっ?」
間髪入れずに答えると、ナオはものすごく不服そうに口を尖らせた。
「あのさぁ…俺は遊びに来てるんじゃないの。“勉強”しに来てるの。真面目に忙しいの」
「……。」
「だいたい、実習がうまくいかなかったらお前の未来にも関わるだろ?路頭に迷ってもいいわけ?」
単位が取れなければ、当然卒業はできない。
就職も見送り。
親に援助してもらえるのは今年までの約束なんだから。
「……わかったよ。」
ぶすっとしたまま、小さく呟いたナオ。
これで安心…かと思いきや、
「わかった。わかったから…キスして?」