誘惑HONEY



脱ぎ散らかした服。

広げっぱなしの新聞。

干しっぱなしの洗濯物に、置きっぱなしのコンビニ袋。

床いっぱいに散乱している雑誌や専門書の数々。


まさに“足の踏み場もない”状態。


もしやと思ってキッチンに駆け込めば、案の定…


「ゴミだらけ…」


流しには、コンビニ弁当と思われる空の容器が山積み。

加えて、使い終ったカップ類も洗わずにため込んでるもんだから、シンクの中はあふれかえっている。


……もう、イヤ。


「こ…これはさ、」


うなだれる私を見て、いつの間にか傍に来ていた龍ちゃんが慌てて弁解を始めた。


「後でまとめて片付けるつもりだったんだよっ。ほら、実習の追い込みで忙しかったし…」

「………。」

「ゴミの日とか分別とか…?ちゃんと確認してからやろうかと…」

「………きゃ。」

「へ?」


言い訳なんて聞いてる場合じゃない!

こんなのが私の家だなんて信じられないっ!


「片付けなきゃ!」

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