誘惑HONEY




ベットに入った瞬間。

ぐいっと、腕を引き寄せられて。

ぎゅっと、身体が何かあったかいものに包まれた。


それはもちろん…


「……龍ちゃん?」


寝ている“はず”の龍ちゃん、だ。


「起きてたの?」

「ん…今起きた。」

「えっ?ごめん、起こしちゃった?」


思わず布団から飛び起きた私を、


「や…いいから。」


静かに引き戻す龍ちゃん。


「でも…」


さすがに罪悪感…

不満たらたらだったけど、文句は言っても、起こすつもりはなかったのに。

途中で起こされるのって、1番疲れるよね?

悪いこと、しちゃったなぁ…


「ナオ、」


しゅんとする私を腕の中に抱きしめ直して、


「…悪かったな」


ぽつりと、龍ちゃんが呟いた。


「へっ?」



いきなり謝られる意味がわからない。

何?私、何かされたっけ?


……はっ!?

もしかして、やっぱり木下先生と何かあったの?


よからぬ想像を巡らせる私に、龍ちゃんは……



「悪かったよ…



こんな時間まで掃除させて」


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