誘惑HONEY



………へっ?



「俺的には、そんなに散らかしたつもりはなかったんだけどさ…」

「………」

「まさか、こんなに掃除に時間がかかるとは思わなかったから…」


ぽつり、ぽつりと。
でも、すごく申し訳なさそうに言葉を紡ぐ龍ちゃん。


「これからは、ちゃんと片付けるようにするから。」

「……え?」

「ナオがいなくても、ちゃんとキレイにする…って言うか、また出て行かれても困るんだけど…」


本人は真剣みたいだけど、なんか……


「いや、でも、もう、ナオに任せっきりはしない。俺も協力するから」


ぎゅっ、と。
私を抱きしめる腕に力が入った。

龍ちゃんってば…

なんか、すっごい可愛くない?

しおらしいって言うか、必死すぎって言うか…


まさか、謝られるとは思わなかった。

だって、さっきは全然悪びれた様子がなかったじゃない?


なのに、こんな…

まるで、“母親に許しを乞う子供”みたいな…?


「だから…「……ふふっ。」


黙って聞いていたものの、私は思わず、笑みがこぼれてしまった。


「な…何笑ってんだよ?」

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