誘惑HONEY
「え…?」
「だから、俺を3年の担当にしたのって…」
「ああ。確か校長…いや、理事長だったかしら。」
……やっぱり。
あのおっさん、絶対に面白がってる。
「なんで止めてくれなかったんだよ!…や、くれなかったん“デスカ”?」
抗議してみたものの…
「……?なんで止める必要があるの?」
サチ姉はまったく気づいていないようで……
「石浜先生、いい先生でしょう?担当教官の中で一番いいと思うけど。」
……確かに。
そりゃ、石浜先生(男)は40代半ばの温厚で親切で指導能力も高い尊敬すべき教師だけど…
「…なにも、ナオのクラスにすることないじゃん。」
それが最大のポイントだ。
「え?」
思わず小さく呟くと、俺の手元の資料を眺めていたサチ姉が顔を上げた。
「ああ…なんだ、ナオちゃんのことか。」
そしてにやにやと、明らかに“教師”のものではない笑みを浮かべる。
「可愛い“奥さん”が生徒じゃ、さすがにやりにくいか」