冷たいあなたは救世主
Ⅰ 叶わぬ恋
○ 入社
「行ってきます!」
誰もいないけれど…
私は部屋に向かってそう言った。
今日から出勤。
その緊張を少しでもほぐせるように。
時計を見ると、予定通りに出発できていた。
…よかった。
こういう時って、いつも出るのが遅れちゃうから…。
入社早々、恥をかくことにはならなさそう。
「がんばろ、私」
誰もいないエレベーターホールで、私は小さく呟いた。