冷たいあなたは救世主


私の目の前には…


黒い服を着て、黒い帽子を被り、サングラスとマスクをつけた、見知らぬ男がいた。



「あ…」


声が出ない。


叫べば、いいのに。



男はしゃがみこむ私の目の前に立ちふさがって、私を見下ろした。


「…」


相変わらず、私はなにも言えない。


大声を出すことも、できない。



…私はこの感じを知っている。





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