紅の君へ
Ⅵ:全ての終焉
君の身体は銀の刃をあっけなく呑み込んでゆく
君の悲鳴は娼婦の喘ぐ声のようで
その嬌声を聞くために
僕は君の赤で染まったナイフを振りかざす
いつしか声を上げなくなった彼女を見て
これで君を支配したという満足感を味わいながら
僕は君の後を追った
どこまでも甘い香りのする紅を流す君のそばで
最後に聞いた音は
終わりを告げる贖罪(しょくざい)の鐘の音だった