《BL》ボーイズ・サマータイム
避暑地を求めて
「あぢぃ~んだけど」
ヤツはTシャツの首元を掴んでふわふわさせながら、普通に上り込んできた。
「ノックぐらいしろ」
「なに固いこと言ってんだよ。オレとお前の仲だろ?」
そう言って、キラースマイルを向ける。
……くそ。
いい顔しやがって。
その手に乗るかっての。
「たとえ仲が良くてもな、入り浸りすぎだ。俺んちの電気代、てめぇも半分払え」
そうだ。
学生にとって、夏のエアコン代は馬鹿にならんのだ。
お前がたとえいい男でも、それとこれとは別問題だ。
「あ、じゃあさ、どっか出かける?あ、いっそプールとか行っちゃう?出かけた方が電気代浮くじゃん」
「遊びに行ったら行ったで金がかかるだろうが」
「じゃあ、金のかからないようにすればいいじゃん。ショッピングセンターへは行くけど、何も買わないとか」
「……それならショッピングセンターじゃなくてよくね?」
「じゃあ、他にどこがある?ファミレスか?ゲーセンか?」
「どこも金がいる」
「じゃあ……毎度の図書館?」
「……さっき行ってたんだよ」
「そうか……」
奴は腕を組んで、う~んと唸った。
「一か所、いい場所知ってるぞ、俺は」
「え、どこ?」
「お前んち。それなら俺んちの電気代は浮くし、このくそ暑い中、出かけなくて済むもんな」
にたりと笑ってやった。
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