その一枚がくれたのは、勇気と恋でした
「まあ、最後の文化祭だしね」


しばらく間を置いてから発した彼の言葉が、私の胸に鋭く突き刺さった。

文化祭の話をするということはこの胸の痛みが襲ってくることなど分かり切っていたこと。

それなのに、どうして私は切りだしてしまったのだろう。



顔を上げると、彼の瞳は真っ直ぐで、はっきりと自分の好きなことと向き合っているようで、そんな彼がとても羨ましく思えた。


「私、これでも一応は演劇部だったの。

こんな性格だから役なんてほとんど貰えなかったし、裏方ばかり。

でも、演劇は好きだったから辞めずに続けてきた」


この人になら、私の素直な気持ちを打ち明けてもいいかもしれない。



いや



「あれ、でも演劇部って確か・・・」


打ち明けたい・・・
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