海の街へ奇跡を
花純ちゃんは、お母さんの妹夫婦の一人娘。
元気で力が強くて、ちょっとだけわがまま。
「あそぼあそぼ、しぃおちゃんあそぼ!」
「遊ぼうか、花純ちゃん」
「こら、汐」
わたしが花純ちゃんのそばに座った瞬間、だれかに頭を軽く叩かれた。
「いったぁー」
「いったぁーじゃないでしょ。仏様に拝んだ?」
「あっ忘れてた!」
わたしの頭を叩いたお母さんは、さっきまでの口調と一変して花純ちゃんに優しく話しかけた。