海の街へ奇跡を


***



「汐(しお)、着いたよ」



耳元から聞きなれた声がして、わたしは目を覚ました。



「早くして。やることはいっぱいあるんだから」

「うーん」



わたしを起こしたお母さんは、隣で荷物をせわしなくまとめていた。

仕方なく、わたしも自分の荷物をまとめ始めた。



「あー、気持ちよかった」

「汐が船で寝るなんて珍しいわね」

「昨日の夜は日付変わるまで課題してたの」

「へぇ。終わった?」

「まだ半分も終わってない」



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