海の街へ奇跡を
「わーーーーー!」
突如聞こえてきた甲高い声に、思わず耳をふさいでしまった。
「まって花純(かすみ)ちゃん!」
聞き覚えのある声がしたあと、すぐに床を力強く蹴る音が聞こえてきた。
わたしはそっとその声と音がする方へ歩いていく。
リビングの隣にある小さな部屋を覗くと、小さな人影が2つあった。
ここにくるのは、本当に久しぶり。
正月以来だった。
そんなことを思っていたら、人影の1人がわたしの存在に気づいた。