円卓の愚者ども
「ルールは至って簡単、ここに5つの鍵があります。それぞれ一つずつとってもらい、、この屋敷のどこかに隠されてある、その鍵にあった「箱」を探してもらう。というゲームです。」

また探しものか。薫の脳裏に不安がよぎる。

「ひとつ質問なんですが、このゲーム、もし、違う箱。自分の鍵に合わない箱を見つけた場合、どうすればいいんでしょうか」

斎藤がおかしな事を言う。自分の箱じゃなければ放っておけばいいじゃないか。

「ご自由に。」

「X」が意味深な口調で答える。

「そんなことより、賞金かなんかないの?ゲームなんだから。」

如月のその言葉に、薫を含め、5人の目が声の方に動いた。

「そうですね、では最初の発見者に10億さしあげましょう。」


「X」は子供に小遣いをやるような感覚で、あっさりと答えた。

10億なんて大金、想像すらできない。
ボンボンのはずの斎藤だって目が血走っていた。

なんだって手に入る。10億。10億。10億。

「さぁ、お好きな鍵をお取りください。」


金欲に溺れた勇者は、手際よく準備を始めた。

罠が潜んでいるとも知らずに。
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