円卓の愚者ども
最後の審判
合格者は薫と明美の2人。

まだこんなゲームが続くのか。もういいじゃないか、終わりにしよう。10億の権利を手にした薫は、真の目的を忘れていた。

「X」の正体を暴くという目的を。

「おい、まだゲームやるのか?2人しかいないぞ。」

薫が「X」にだるそうな声で問う。

「そうですね。私も、たった2人しか残らないとは思いませんでした。じゃあ、次が最後のゲームにしましょうか。」

「X」が初めて人間臭さをみせた。

「準備はよろしいでしょうか。」

次のゲームで、俺と明美のどちらかが殺される。でも、やるしかない。殺されてたまるか、明美ちゃんを蹴落としてでも生き残ってやる。10億の為に。

「ああ!早くはじめろ!」


「ふふ、最後のゲームはズバリ「殺しあい」です。」

薫は自分の耳を疑った。

「殺し合いだと?!ふざけるな!」

「殺し」と言うリアルな言葉に、全身が震えた。
今までのゲームで人を「殺し」てきたはずなのに。

うそだろ?人間を殺すのか。この俺が。この手で。明美ちゃんを。

鍵が置かれていた大理石のテーブルの上には、不気味に光る2本のナイフが置かれていた。

「そのナイフで、相手を刺して下さい。その方が真の勇者です。」

真の勇者。誰もが憧れるヒーロー。
薫はその言葉を何度も繰り返した。
ここで、このナイフで明美ちゃんを殺せば、「真」の勇者になれる。

俺が生き抜く為には明美ちゃんを殺すしかない。

「それでは、ゲームスタート。」




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