円卓の愚者ども
二日前にさかのぼる。

普段どおり、父の経営する車の修理工場で事務に明け暮れていた。

「はい、珈琲どうぞ。」

先月入ってきた明美ちゃん。笑った時のえくぼが実にキュートだ。

「あ、ありがとう。」

明美ちゃんの珈琲はうまい。気がする。
お礼を言った時には彼女は同僚の後藤の所に行っていた。
風の噂で、どうやら二人は付き合っているらしい。

世の中不公平だ。
イケメンが可愛い子と付き合うならまだしも、あの後藤と明美ちゃんが。
いっちゃ悪いが俺は後藤に負ける自信がない。
そんなくだらない事を考えてた時、聞き慣れた電子音が聞こえた。

ピピーピーピピー
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