円卓の愚者ども
しばしの沈黙。

「そうですねぇ、「X」とでもしておきましょうか。」

「X」。
これからお前の正体を暴いてやる。覚悟しておけ。

「さぁ。お入りなさい。」

さぁ、どんな試練でもかかってこい。
久々のスリルを前に、薫は胸が高鳴った。
周りの連中も薫と同じ気持ちなのが、ひしひしと伝わってきた。

「いくぞ。」

普段なら想像できない薫のその言葉で、6人は「X」のテリトリーに足を踏み入れた。

ピー

ギィィィィィ、、ガシャン

笛を吹く様な音の後、正門が大きな音を立てて閉まる。

「もう逃げられない」

誰かがそう言ったような気がした。
薫自身が言ったのかもしれない。
純白の屋敷まで歩くのに3分程かかった。

また「X」の声だ。

「改めて、ようこそ。早速ですが、この館に入る前にひとつゲームをしましょう。」

「ゲームだと?」

いつのまにかリーダー的存在になっていた薫が返す。

「そうです。ゲームです。ルールは簡単。入り口から館の中へ入ってください。」

は?
皆、理解できずにいた。
普通に扉を開けて、入り口から入ればいい話だ。

だが、その安易な考えは5秒後に音を立てて崩れ落ちる。

そう、薫達が入り口だと思っていた入り口は「入り口」ではなく、扉のような色を塗られた「絵」だったのだ。
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