円卓の愚者ども
「お気づきになられましたか。この館の入り口はここではありません。ここへ入ることができる入り口は、「5」つです。見事、中まで入れた方に次の試練を与えましょう。・・・それではゲームスタート。」

今いる人数は6人。入り口の数は5つ。

ということは、この中の誰か一人が中に入れないという事か。ここへきて怖くなったのだろうか、水商売風の女性が目を潤ませて叫ぶ。

「ね、ねぇ。残った一人はどうなるの?!ねぇ!!」

「X」は何もしゃべらなくなった。

ゲームは開始されたのだ。

気づいたら薫の周りには明美ちゃんと、その女しかいなかった。

「遠山さん!いこう!」

薫は明美の手を引き、だだっぴろい庭園に走った。他の男3人はすでに探し始めている。

「ちょ、ちょっとまってよ!」

女はまだスタート地点で突っ立っている。入り口を探そう。今はそれ以外考える余裕がない。

ガサッガサッ

一つ目の入り口は簡単にみつける事ができた。
いろとりどりのパンジーが咲き乱れる花壇。その地面の中央に鉄製の扉を見つけた。

「あった!」

明美が口を手で覆いながら笑顔で言った。

「遠山さん、ここから行っていいよ。ボク探すから。」

「え。いいの?」

「うん。」

照れくさそうに答えた。
薫は明美を笑顔で見送り、緑の庭に消えて行った。

明美ちゃんの命は確保した、後は俺の分。
必ず見つけてやる。
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