小悪魔な彼
 
センスのある服装といい、
さりげなく、自分のジャケットを膝にかけてくれたり、
戸惑うことなく店員さんに注文したり……


「絶対に、女慣れしてるよね」
「してませんよ」


表情を変えることなく、ばっさりと否定。

それすらも怪しい。


「俺、姉がいるんですよ。二人」
「え?そうなの?」
「はい。その姉が、これまた男経験が豊富でして……」
「……」


確かに、颯太の容姿を見ていれば、お姉さんがどれだけの美人か想像できる。

男もきっと放っておかないだろう。


「それで、高校に入ってから急激に変わった俺を見て、根掘り葉掘り聞いてきて、そのあと徹底的な指導が入ったんです」
「……あら…」


それを聞いて、少しだけあわれと思ってしまった。


「まあ、結果的によかったんですけどね」


颯太はにこりと微笑んだ。
 
< 103 / 416 >

この作品をシェア

pagetop