小悪魔な彼
センスのある服装といい、
さりげなく、自分のジャケットを膝にかけてくれたり、
戸惑うことなく店員さんに注文したり……
「絶対に、女慣れしてるよね」
「してませんよ」
表情を変えることなく、ばっさりと否定。
それすらも怪しい。
「俺、姉がいるんですよ。二人」
「え?そうなの?」
「はい。その姉が、これまた男経験が豊富でして……」
「……」
確かに、颯太の容姿を見ていれば、お姉さんがどれだけの美人か想像できる。
男もきっと放っておかないだろう。
「それで、高校に入ってから急激に変わった俺を見て、根掘り葉掘り聞いてきて、そのあと徹底的な指導が入ったんです」
「……あら…」
それを聞いて、少しだけあわれと思ってしまった。
「まあ、結果的によかったんですけどね」
颯太はにこりと微笑んだ。