小悪魔な彼
2章 小悪魔
「香澄先輩っ」
掃除が終わって、昇降口へ向かうと、峰岸くんが壁にもたれかかって待っていた。
そしてあたしの存在に気づくと、すぐに立ち直して笑顔を向ける。
まるで、ご主人様を見つけた子犬みたいだ。
「香澄先輩、このあと何か予定あります?」
「ないけど」
「ある」と答えればよかったと、言いきってから気づいた。
このバカ正直な自分が時々嫌になる。