小悪魔な彼
 
「……遅いですよ」

「はぁっ……やっぱり待ってた……」



教室には、なぜか下級生のはずの颯太一人。

本来なら、勝手に入ることすらどうかと思う。


颯太は当然のような顔をして、あたしの席についていた。


「ちゃんと、先に帰ってていい、って送ったのに……」
「もう一度、同じセリフを言わせるつもりですか」
「……いえ…」


少しだけ呆れた顔で見る颯太に、あたしは目線を逸らした。


颯太のおかげで、三浦先生のことを吹っ切れたのは確かだけど、決してあたしたちは付き合っているわけではない。


相変わらず、メガネを代償にした、1か月の彼女という関係。
 
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