小悪魔な彼
夕日が照らす帰り道、先週よりも少しだけ近づいて肩を並べる。
距離は30cm。
少しふらつけば、ぶつかる距離だ。
「来週からテストだね。
颯太は大丈夫なの?」
「まあ……」
「まあ…って……。
何その余裕…。いつもどれくらいの成績なの?」
「一応、毎回トップ5には入ってますが」
「はい?」
さらりと返されすぎて、思わず聞き返してしまう。
今、こいつはなんと……。
「聞こえませんでした?
トップ5には……」
「聞こえてますよ!!」
今度は嫌味っぽく言われ、言葉を制した。
何こいつ…
顔もいいくせに、頭もいいなんて……。
一瞬、皮肉に思ったけど、ふとこの間のことを思い出した。