小悪魔な彼
 
(そして俺は、高校に入って、初めてオシャレということを意識した。
 というわけです。
 すべては、香澄先輩に好かれたくて)


そうだ…
颯太は決して、生まれ持ったものなんかじゃなくて……



「それも……あたしを振り向かせるため……?」

「……そうですよ。
 無駄にある知識も、全部あなたを想ってのことです」

「……」


颯太は、高校1年にしては、知識も豊富だ。
あたしの知らないこともいっぱい知ってるし、毎回いろんな話をして面白いことを言ってくれる。


「香澄先輩が、年上好きって知ったから……。
 だから年上の人と同じくらいの知識と頭をもてるよう、必死に学んだんです」


少しだけバツが悪そうに、そっぽを向く颯太。

その頬が赤いのは、きっと夕日のせいだけじゃない。


「颯太、かわいいね」
「男に可愛いと言うのはやめてください」
「そっか」



つい、照れた颯太が可愛いと思ったから、ぽろりと言ってしまった。


だけど、ただでさえ年下であることを気にしてるんだから、可愛いという言葉はNG発言だったかな。
 
< 115 / 416 >

この作品をシェア

pagetop