小悪魔な彼
(そして俺は、高校に入って、初めてオシャレということを意識した。
というわけです。
すべては、香澄先輩に好かれたくて)
そうだ…
颯太は決して、生まれ持ったものなんかじゃなくて……
「それも……あたしを振り向かせるため……?」
「……そうですよ。
無駄にある知識も、全部あなたを想ってのことです」
「……」
颯太は、高校1年にしては、知識も豊富だ。
あたしの知らないこともいっぱい知ってるし、毎回いろんな話をして面白いことを言ってくれる。
「香澄先輩が、年上好きって知ったから……。
だから年上の人と同じくらいの知識と頭をもてるよう、必死に学んだんです」
少しだけバツが悪そうに、そっぽを向く颯太。
その頬が赤いのは、きっと夕日のせいだけじゃない。
「颯太、かわいいね」
「男に可愛いと言うのはやめてください」
「そっか」
つい、照れた颯太が可愛いと思ったから、ぽろりと言ってしまった。
だけど、ただでさえ年下であることを気にしてるんだから、可愛いという言葉はNG発言だったかな。