小悪魔な彼
「香澄先輩?」
「颯太っ!」
放課後、いつものように現れた颯太。
その姿を見て、ほっとした自分がいた。
「どうしたんですか?そんな驚いた顔して」
「そ、それは……もう来ないかと思ってたから……」
「何言ってるんですか。
あと10日あるんですから、その期間も大切にしますよ」
颯太は全然変わらない。
いつもと同じようにあたしを迎えに来た。
やっぱり昨日の言葉は、拒まれたことが悔しくて、その場だけの言葉だったのかな。
そう思うと、あたしの心はいっきに晴れた。
「そ、そうだよね。
じゃあ、帰ろっか」
「はい」
そしてあたしは、もう恒例となっているように、颯太と一緒に教室を出た。