小悪魔な彼
 
「そんなに俺と触れ合いたかったんですか?」なんて、いつもの小悪魔なセリフが飛んで来るかと思いきや、


「こちらこそ、すみません」


そう言って、颯太は一歩横にずれただけだった。


「……」


なぜか、ツキンと胸が痛くなった。
 

なんとなくぶつかりたくて、わざとぶつけたのに、何事もなかったかのように向こうへ避けられる。


なんていうか……
いつもだったら、それをきっかけに手も握ってきそうなのに……。
 
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