小悪魔な彼
夕日が逆光として峰岸くんを照らしていて、手を差し出す彼は悔しいけど絵になるくらいカッコいい。
だけど、少し幼さの残るその雰囲気が、あたしの恋心を引き留めている。
「まったく……仕方がないなぁ」
あたしはせっかく差し出した手を邪険に扱うことはできず、その手に自分の手を重ねた。
「先輩の手、小さくて可愛いですね」
「……」
いちいち、照れもしないでそんなことを言う彼が嫌だ。
あたしは、特に何も反応せずに、彼に手を引かれるまま歩いた。
「……公園?」
「はい」
来た場所は、学校から少しだけ離れた公園だった。
峰岸くんは、公園に設置されている自販機まで行くと、飲み物を二本買って戻ってきた。
「どうぞ」
「あ、ありがとう」
渡されたのはミルクティー。
しかもあたしの、大好きなシリーズのだった。