小悪魔な彼
10章 自覚
「香澄先輩っ!」
「……やほ」
次の日は、あたしが颯太を迎えに行った。
いつもは比較的あたしのほうがHRが終わるのが遅くて、颯太が迎えに来る。
先に終わったとしても、待っていることのほうが多かったけど、なんとなく今日は迎えに来たくなった。
「嬉しいです。
先輩が俺の教室に来てくれるなんて」
「……待ちくたびれたからだよ」
「すみません」
あたしの皮肉な言葉でさえも、笑顔で答える。
なんだかあたしが今照れていることも、見透かされていそうだ。