小悪魔な彼
「よくあたしの好きなもの、知ってたね」
「そりゃ、香澄先輩のこと、いつも見てますから」
「……」
いったい、どこまでが本気で冗談やら……。
少しだけ、その発言、怖いんだけど……。
「今日はお互いのこと、もっと知ろうと思って」
「……そう」
空いているベンチに座って、缶をぷしゅっと開けた。
目の前には、数人の子供たちが仲良く遊んでいる。
近くの道路には、車がたまに走っていた。
「お金をかけないデートだって、あるんですよ」
「そうだね。でもあたしの頭の中には今までなかった」
年上とのデートばかり理想を描いていたあたし。
さすがに高校生のあたしが、高層ビルのレストランで食事、なんてことは考えないけど、落ち着いたカフェに入ったり、ちょっとおしゃれなレストランに連れて行ってもらったり、そんなことばかり考えていた。