小悪魔な彼
 
 
「じゃあ、これからはアリにしてください」
「……」


屈託のない笑みを向ける峰岸くん。

そんなふうに笑顔を向けられたら、何も言い返せない。



「ねえ、どうしてあたしなの?」



あたしは、彼のペースに巻き込まれてしまいそうなところを思いとどまって、ずっと気になっていた疑問を投げかけた。
 

確かに、ぶつかってメガネを割ってしまったのはあたし。

だけどそれを代償にして、付き合うことにメリットはあるのだろうか。
特別、何かいかがわしいことを強要してくるわけでもないし。


「峰岸くん、正直モテるでしょ?」
「最近はわりと」
「……」


否定しないのが彼らしい。

でもそれがかえって嫌味に聞こえない。

だって彼の容姿は、10人中9人が、カッコいいと認める容姿だからだ。
  
< 15 / 416 >

この作品をシェア

pagetop