小悪魔な彼
「じゃあ、これからはアリにしてください」
「……」
屈託のない笑みを向ける峰岸くん。
そんなふうに笑顔を向けられたら、何も言い返せない。
「ねえ、どうしてあたしなの?」
あたしは、彼のペースに巻き込まれてしまいそうなところを思いとどまって、ずっと気になっていた疑問を投げかけた。
確かに、ぶつかってメガネを割ってしまったのはあたし。
だけどそれを代償にして、付き合うことにメリットはあるのだろうか。
特別、何かいかがわしいことを強要してくるわけでもないし。
「峰岸くん、正直モテるでしょ?」
「最近はわりと」
「……」
否定しないのが彼らしい。
でもそれがかえって嫌味に聞こえない。
だって彼の容姿は、10人中9人が、カッコいいと認める容姿だからだ。