小悪魔な彼
 
「颯太、これ……」


月曜日になると、あたしは帰りに颯太に一つの封筒を渡した。


「なんですか?」
「メガネ代。もう、期限とか守らなくていいんなら、渡せるうちに渡しちゃおうと思って」
「いいですよ、そんなの。
 そのお金よりももっと高価な代償を、もらってますから」


そう言って、封筒を突っ返す颯太。

高価な代償とは、きっとあたしが本当の彼女になったことだ。


「ダメだよ!それとこれとは別!!
 メガネを壊しちゃったことは変わらないんだから、絶対にこれは受け取って」

「……そんなに言うんでしたら……ありがとうございます」


気迫に負けたのか、颯太は仕方なしに受け取った。

 
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