小悪魔な彼
 
「も、もうっ……急なんだからっ……」


唇を離され、思わず照れ隠しでそんな言葉を言ってしまう。

だけどきっと、あたしの顔は真っ赤だ。


「香澄が悪いんですよ」


にやりと笑って、勝ち誇った顔の颯太。

やっぱり、その顔をされるのは悔しい。


あたしはもう一度颯太の顔を見上げた。


「メガネ姿の颯太……カッコよくて好きだけど……」


両手を伸ばして、メガネをはずす。
まだ意味の分かっていない颯太に、あたしは背伸びをして……



「!!」



今度はあたしから、キスをした。


重ねるだけの、数秒のキス。
自分からのキスはやっぱり少し恥ずかしい。


そっと唇を離して、かかとを下ろした。



「キスするときは、メガネがないほうがしやすいね」



そう言って、イタズラな笑みを向けた。
 
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