小悪魔な彼
「そ、それが分からないって言ってんの」
あたしはなんとか彼の手を振り切って、再び前を向いた。
心臓が、ありえないほどバクバクいってる。
「知ってますか?
俺、入学前から香澄先輩のことが好きなんです」
「え?!」
あまりにも突然の告白。
ってか、「好き」なんて言葉、初めて聞いたんだけどっ!
「な、何それっ……いつ?どうやって?」
「それはもう少し秘密です」
長くて細い人差し指を唇に立てて、にこっと微笑む峰岸くん。
悔しい…
「付き合う期間を、あと1か月延長してくれるんなら話しますよ?」
「……遠慮します」
峰岸くんは、「つまんないの」とふてくされ顔をした。
だってこれ以上、付き合う期間を延ばすなんて無理!
あたしは早く、峰岸くんから解放されたいんだから!