小悪魔な彼
「俺の部屋は2階です」
「あ、はい」
なぜか敬語になってしまい、颯太のあとについて階段を上がった。
案内された場所は、あたしが想像していたよりもずっと片付いた部屋だった。
「結構濡れちゃいましたよね。
俺の服貸すんで、こっちに着替えてください。
制服は向こうで乾かしておくので」
「ありがと」
颯太はあたしに、上下のスウェットを渡す。
そして一人部屋から出て行って、階段を下りた。
き、緊張する……。
ありえないほどの心拍数。
男の人の部屋なんて初めてだし、ましてやお母さんのいない時なんて……。
とりあえず着替えなくちゃ……。
いつまでも濡れた制服でいるわけにもいかないので、あたしは制服を脱ぎ捨てると、颯太から借りたスウェットに腕を通した。