小悪魔な彼

「颯太の服……やっぱ大きいね」


袖をぷらぷらさせて、服の大きさをアピール。


「そりゃ、男ですからね。
 と言っても、1年前なら、香澄とたいして背丈も変わらなかったと思いますけど」

「それがほんと信じられないんだよね。
 ねー、その時の写真見たいなー」

「ダメです。
 香澄にだけはあのときの俺は見せられません」

「なんでよー。
 それにその時の颯太に出逢ってるから!」

「覚えてないじゃないですか。
 それくらい別人なんです」


断固として引かない颯太。

颯太の気持ちもわかるけどさ。



「それよりも、何かDVDでも見ます?」
「あ、見る見る!」


部屋の中で、することと言ったら限られている。


「あ、ねえ。それなら映画館っぽくしない?」
「映画館っぽく?」
「カーテンとか閉めて、部屋暗くするの!」
「……」


あたしの言葉に、颯太は一瞬黙った。
 
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