小悪魔な彼
「メリークリスマス。香澄」
「……」
唇を離して、至近距離のまま言われる。
そのカッコ良さに、思わず言葉を失った。
「メリー……クリスマス……
颯太…」
今度はあたしから、颯太にキスをした。
プレゼントは何も用意していないから
想いをプレゼントとして届けられるよう、ありったけの気持ちを込めて……。
道行く人の視線が気になったけど
きっと、クリスマスイブという日が、あたしたちを大目に見てくれる。
今だけは、あたしたちの間に
何の隔たりも入ってこないよう……。
「大好きだよ」
この言葉が、あたしから颯太への
クリスマスプレゼント。