小悪魔な彼
「せーんぱいっ!」
……来た…。
帰りのHRが終わって、先生が教室から出て行くと同時に聞こえる声。
あたしはその声の主にむかって、あからさまに嫌な顔を向けた。
「うわ、そんな露骨に嫌な顔しないでくださいよー」
「ごめん、正直なんで」
「冷たいなー」
そんなあたしの顔と言葉なんか気にせず、その声の主はにこにことあたしの顔を見つめた。
彼は峰岸颯太(ミネギシソウタ)。
先週、ひょんなことからあたしは彼の傍にいないといけなくなり……
「ダメですよ?そんなこと言っちゃ。
今は香澄先輩は俺の彼女なんですから」
「……」
あたしは彼と付き合うはめになってしまった。