小悪魔な彼
 

《猛だよ。覚えてるだろ?
 ちっちゃい頃まで、隣に住んでた》

「たけ…る?………えっ!たっ、猛にぃ!!」


ようやく、あたしの記憶が合致。


名前を呼んで、すぐにそこにいる男の人の顔を見上げると、呼ばれた名前に満足したようにニカッと笑った。


《どうやら、今分かったみたいだな。
 っつーわけで、そいつが家まで送ってくれるみたいだから》
「え、ちょっと!」


あたしの反論は聞かれることもなく電話が切れた。


切れた電話を片手に、おそるおそる彼のほうへ振り向く。
 
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