小悪魔な彼
 
 
「おかえり」


という声とともに、お母さんとお兄ちゃんが迎え入れてくれる。

当然のように、「ただいま」と返す猛にぃ。


「ただい、ま……」


あたしは、まだバイクの振動で足がガクガクだ。


「猛。なんでこいつ、フラフラなの?」
「あー、今俺が食ったから」
「え……」
「違うよ!!」


変なことを言う猛にぃに、思わず怒鳴るように突っ込んだ。


「バイクのせい!!」
「あ、そう」


妙に怒っているあたしに、お兄ちゃんも引き気味だ。


「ってか、なんで猛にぃがいるの?」


あたしはようやくずっと気になっていた質問を投げかけることができた。
 
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