小悪魔な彼
あたしの言葉に、一瞬きょとんとすると、峰岸くんはにやっと笑った。
「そんなの当たり前じゃないですか。
香澄先輩が、女なんですから。
俺にとって特別の」
いったい、なんなのこの子……。
年下のくせに生意気。
あたしをこんなにドキドキさせるなんて……。
「今、ぐっときました?」
「自惚れないで」
「照れちゃって可愛いですね」
「うるさいっ」
夕日に照らされたあたしの顔が赤いのは、決して夕日のせいだけじゃない。
そんなことは、峰岸くんにはお見通しだった。
「1か月、いらなかったですかね」
「だから自惚れないで、って言ってるでしょ」
「はーい。まだまだ頑張ります」
カッコいいからって、そう簡単には好きにはならない。
だってあたしには……
好きな人がいるんだから………。