小悪魔な彼
14章 敬語
 
「颯太っ!」


12月25日。
世間ではクリスマス。

学校では今日から冬休みになるけど、いつも通り朝早く起きて、あたしは待ち合わせの駅まで走った。


「相変わらず来るの早いね」
「香澄を待たせたら悪いと思って」


まだ、待ち合わせ時間よりも5分早い。
だけど颯太は相変わらず、本を片手に立っていた。


「今日は晴れましたね」
「ねっ」


昨日の雨は嘘のようだ。

寒いけど、空は青空で気持ちがいい。


「じゃあ、行きましょうか」
「うんっ」


颯太は自然とあたしの手を取ると、そのまま歩き出した。
 
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