小悪魔な彼
3章 届かない好きな人
「明日、俺、日直なんですよね」
「へー」
一緒に帰るのが当たり前になって4日目。
ようやく明日で1週間が終わる木曜日、そんなことを言い出した峰岸少年。
「だから明日、香澄先輩が俺の教室まで迎えに来てくださいよ」
「え、やだ」
「即答ですか」
ためらいもなく、ばっさりと切る自分。
冷静に受け答えながらも、へこんでいる峰岸くんが垣間見れた。
「だって後輩の教室に行くなんて、目立って嫌」
「じゃあ、俺はいつも目立っているんですね」
「そうだよ。気づいてなかったの?」
うちの学校は、上履きの色が学年によって違う。
だからそこを見れば、どの学年なのかすぐに分かってしまうのだ。
そもそも、峰岸くんは存在自体が目立っているから、どこのクラスに行っても注目の的だ。