小悪魔な彼
あたしからの言葉が予想外だったのか、颯太が一瞬ぽかんとする。
そのまま、逆に首を傾けてきた。
「いいんですか?タメ語でも」
「いい…に決まってんじゃん。
かっ、彼氏でしょ?」
呼び名はとっくに、香澄と呼び捨てになっているのに、いっこうに治らない口調。
その敬語が、まだまだ壁を感じて仕方がない。
「うん。じゃあ、これからはタメ語で」
少しだけ声を低くして、耳元で返す。
わざとだ……
絶対に今の話し方はわざとだっ……