小悪魔な彼
「だけど、覚悟しといて」
「な、なにが?」
「今まで敬語にしてたのは、どこかしら自分を抑えるため。
タメ語になったら、完全に素の俺になるから。
容赦なく攻めるよ?」
「…っ」
後ろから顔を覗き込んで、にやっと笑う。
全身に電流がはしった感覚になった。
「そういえば、昨日の電話でも、今日の俺は嫉妬でくるってるから容赦ないって言ったよな」
「そ、そうだっ……け?」
「うん」
にこーっと微笑むその笑顔は、もう悪魔のほほえみだ。
あたしはもしかしたら、危険な蓋をあけてしまったのかもしれない。